Egyptomania

  • Jean Viel de Saint-Maux:解読すべき謎としてのヒエログリフと「ヘルメスの石」としての建築。

c.f. Anthony Vidler, The writing of the Wall, N.Y.:Princeton Architectural Press, 1987, pp.139-146.(Symbolic Architecture, Viel de Saint-Maux and the Decipherment of ANtiquity)

ヴィエル・ド・サン=モーはヒエログリフを「表現の記号、絵画・言語の起源となる記号」とみなし、ヘルメスの石としての建築の一定の神秘的含蓄を封じ込めるものとして、宇宙論的な見地からそれを捉えようとする。

「いくつかの特徴的な符号によって[12の]月、因由、[4つの]原質を表現し、彫琢するのは、この同じ石、いわば奉献の石を通してである。太陽の運行を表す象徴が施されるのも、この石にである。さらに一歩進んで、支持体となり、新しい建物に神殿の概念を付与するのは、この石、古代にかくも称えられた神秘の円柱として刻まれたこの石なのである」
(三宅理一『エピキュリアンたちの首都』學藝書林、1989年、159ページ。文中のヴィエルの引用は、Viel de Saint-Maux, La Deuxième lettre sur l'architecture, Bruxelles, 1780, pp.12f.BnF)

  • Antoine-Chrysostome Quatremère de Quincy, De l'architecture égyptienne, considérée dans son origine, ses principes et son goût, et comparée sous les mêmes rapports à l'architecture grecque, Paris, 1803. BnF

カトルメール・ド・カンシーはこの論文ではエジプト建築(石造建築の起源と言われた)を扱っているが、結局のところはギリシア建築を最も完成度の高いものとして、つまりは建築の「規範」として礼賛することとなる。
c.f. Vidler, ibid., pp.147-164.(From the Hut to the Temple, Quatremère de Quincy and the Idea of Type)


上記の三宅氏の書から、気になった一節を抜粋。

多くの考古学者は、ギリシア・ローマに加えてエジプトやエトルリアの古代芸術を扱い、その本質を究めんとしていた。たとえば、南イタリアギリシア神殿パエストゥムに、オシリス・イシス崇拝の痕跡を見出そうとするなど、従来の古代観を大きく逸脱した傾向が現れてくる。
(三宅、上掲書、166ページ)

青文字部分は、具体的には誰の試みなのだろうか?ちなみに三宅氏は、エジプト、エトルリア、中近東の建築様式を、「古代世界の原型」としている。