図書館オンライン検索での略称

INHA(フランス国立美術史研究所)図書館のオンライン検索システムOPAC LORISで資料検索していたら、所蔵先としてBENSBAという見慣れぬ略称が。調べてみたらこれは、Bibliothèque de l’École nationale supérieure des beaux-artsの略らしい。俗にいうパリのボザール。

ちなみに、大学付属研究所にしばしば冠されているUMRは、Unité mixté de rechercheの略。なんでもアルファベットでの略称になっているので(特に大学関連の事柄は)、解読に一苦労。

探しているのは、次の書物。
Viel de Saint-Maux, Jean-Louis, Lettres sur l'architecture des anciens et celle des modernes dans lesquelles se trouve développé le génie symbolique qui présida aux monumens de l'antiquité, Paris, 1787.
ヴィエル・ド・サン=モーは18世紀後半、ルドゥーとほぼ同時期に活躍した建築家で、同時代の多くの建築家たちと同様、フリーメイソン会員でもあった。彼の古代建築観は独特のものである。彼は、ヴィトルヴィウス流のオーダー論も、ロージェらが構想した「原始の小屋」の観念も退け、建築の起源について宇宙論的な考察を展開する。三宅理一によれば、それは「建築の起源が宇宙の根源をそのまま反映する」という認識であり、その意味では「古代といわば隣り合った、あるいは古代と混淆したひとつの開闢論的な立場」の建築論である。
宇宙を一つの建築物とみなし、デミウルゴスを建築家に準える発想は、当時のフリーメイソン思想の特徴であるが、ヴィエル・ド・サン=モーにあっては、古代建築は宇宙と照応関係におかれる。
(三宅理一『エピキュリアンたちの首都』125-133ページ参照)
三宅氏の著作中に引用されたヴィエル・ド・サン=モーの文章は、どうもルドゥーの『建築論』とよく似た部分がある(太陽崇拝やその反映としての円形配置という理解、また記念的建造物を褒め讃える詩、聖歌、頌歌というくだり)。ルドゥーの『建築論』の方が年代的には後なのだが、両者の間に直接の影響関係があったのかは不明。ヴィエル・ド・サン=モーがルドゥーを高く評価していたことは事実らしい。