今日の不思議

ヴィンケルマンの『古代美術史』の原著が、何故か農学部図書館所蔵の件。
https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/books-query?mode=2&code=21587303&key=B116333101400641
この本の構成は、笑いを誘うほどスクエアで、邦訳版を参考にするならば「部>章>区>節>段>イ・ロ・ハ…」という区分になっている。例えば、「第1部第2章第1区第3節第2段ロ:石」という具合。
対するピラネージのイメージ配列法は、がらくたの寄せ集めというか、「存在している断片を並べてみました」という感じ。その配置手法に通底しているものはあるにせよ、シンプルで普遍的な体系を整備し、そこに既存の物を分類することで「配置」を行なう、というヴィンケルマン(1717−1768)ら同時代人たち――リンネ(1707−1778)とかビュフォン(1707−1788)とか――の発想とは、根本的に違っているように思う。この点、17世紀までの博物誌や古遺物研究の伝統(=ヴンダーカンマー的な世界観)と、19世紀以降の歴史学・考古学(=実証的・科学的な学問体系)との間の、空白地帯というか結節点というか、そういう地点にピラネージは位置するのかもしれない。