ニュートン主義とピラネージ

B.M. Stafford, "Bare versus Prismatic Style : Newton, Piranesi and eighteenth-Century Theories of Abstraction in Art and Science", F. Burwick & J. Klein eds., The Romantic Imagination : Literature and Art in England and Germany, Amsterdam : Rodopi, 1996, pp. 335-356.
ニュートン以前と以後の世界認知の方法を、「剥き出し」と「プリズム的(屈折した、着色された)」の二項対立で捉えた論文。

多様な断片を繋ぎ合わせ、古代世界の諸部分を恣意的に併置させるという、ピラネージの百科事典的な手法は、新しく複雑な統一体を創り出すためのものであったが、これは複雑な事物をよく知られた名称の元に統合する、ニュートンのプリズム的な方法を模倣したものであった。考古学者、あるいは目録作成者の手法によって、ピラネージは逃れ去ろうとする過去を具象化し、歴史的知識の崩壊した構造を、それが近代まで伝わった形式そのままに可視化した――ニュートンが光の不均質性を可視化したのと同様に。つまり、想像的に再建されるべきものとして存在していた、かつての統一的な古代の遺跡から組立てられる、非連続的な寄せ集めとしてである。このように、ピラネージによる発見物には、ニュートンと同様、それまでは遠く離れてアクセス不能だったもののイメージだけではなく、それらが発見され、顕在化された際の技術やプロセス、派生まで含まれる。それが表層にもたらす混乱した配置と葛藤を孕んだ外観とは、近接したものである。
(p.341)