六本木ヒルズ森美術館で開催中の『六本木クロッシング』に行って来た。なんと言っても、金曜・土曜・祝前日は24:00まで開館なのが嬉しい。展示の方は、前回の企画『ハピネス』展と同様、アミューズメント・パークのような娯楽性だ。「コンセプチュアル」だの「反芸術」だの「制度への挑戦」だの、そんな大袈裟な堅苦しいものでは全くなくて、なんだかもうギャグとして笑うしかないような展示が多数。かつては「アヴァンギャルド」と称されていた中西夏之氏の作品が、「オーソドックス」な「古典」に見えてしまうくらい。

印象に残ったのは、ガラスのような眼をした少女を描いた加藤美佳の『SODA』(画家作の人形をモデルに描いたという。翠色の眼の繊細な虹彩が本当に美しい。)、柔らかな色彩で幻想的な光景を描く福井篤『midnight trail』、古い建築物がダイナマイト爆破される様を時間差で撮影した畠山直哉『Zeche Westfalen』など。ミッション・インヴィジブルの刺繍作品もなかなか示唆的で面白い。芝生を植えた引き出し(ポータブル緑地!)とピクニック用バスケットを並べ、「大人たばこ養成講座」風のインストラクションをつけた東京ピクニッククラブには大笑いした。有名どころでは、前述の中西夏之をはじめ、小谷元彦やなぎみわ会田誠ヤノベケンジなども参加している。

「笑える」作品が多かったなかでもいちばん笑えたのは、黒い別珍のジャケットを片手に、「これは入場者の忘れ物なのか、それともインスタレーションの一部なのか?」と真剣に思案している係員たちの姿であった。