郵便と引越し

フランス滞在中に、何度「郵便的不安」という分かったようでいて実は全然分かっていないタイトルの日記(某SNS内にひっそりと存在)を書いたか分からない。長らく未到来だった書籍小包が、漸く全て到着したので、今回は「フランスを引き上げる際の引越しにまつわるエピソード」でも。
日本から渡仏する際には、それなりにリーズナブルな値段で利用できる運輸サービスがある。ヤマト運輸が提供している「引越らくらく海外パック」(単身者向けプランあり)など、これを利用したというフランス留学経験者も多いのではないだろうか。(私も「行き」ではこちらを利用した。荷物到着にかかった期間は1ヶ月半ほど。実は荷物自体はもっと早くパリに届いていたようなのだが、パリ支店からは一切連絡が来ず、確認の電話をして初めて到着を知った。この例に限らず、フランスでの事務手続きは、こちらから主体的・積極的に――ときには攻撃的に――確認し、督促しないと進まないということも多い。)
帰国の場合、パリ在住者と地方在住者で事情が全く異なってくる。ヤマト運輸の引越し便の場合、「パリ在住者には段ボール送付サービスがあるが、それ以外の都市の居住者は自前で用意すること。在住の都市からパリまでの荷物輸送には、下請けの運送会社(フランス資本)の人員が赴く。内部規定(?)でこの人員は集合住宅の玄関までしか入れないので、荷物は当人が全て一階(仏でいうRDC)まで運び下ろしておくこと」という制限がつくのだ。しかも、単身引越向けのパックを利用する場合、段ボールを追加したときの加算額が高く、荷物の多い者にとっては非常に割高になってしまう。(おそらくは、荷物の少ない短期語学留学生などが想定顧客なのだろう。)もう一つ、日通の海外引越のサイトも見てみたが、こちらは家族で滞在しており、多少高額な料金でも意に介さない顧客(駐在員家庭など)向けという印象を受けたので、選択肢からは削除。
フランス留学経験のある先輩にもお話しを聞きつつ、結局はフランス郵便局(La Poste)から郵便小包として荷物を送るのが、自分のようなケース――地方在住で荷物が比較的多い、かつ「お金で時間を買う」ほどの余裕がない――ではもっとも合理的という結論に到達する。(ここから、帰国に向けての怒濤のような日々が始まったのだった。)
ちなみに、フランスの郵便局には基本的に、顧客の家まで荷物をピックアップに来てくれるようなサービスは無いとのこと(窓口で聞いた話)。割り当てられた学生寮の近くにたまたま郵便局があったのは、まさしく神の恩寵だった。
私が利用したLa Posteのサービスは、以下の3種類。

  • Livres et Brochures:書籍小包のこと。一個当たり5kgまでで13.72ユーロ、追跡番号などはなし、基本的に船便(基本的に、というのは、しばしばミスで航空便扱いになるそうなので)。ちなみに書籍での5kgというと、文庫本や四つ折り本で精々20冊、大型カタログになると2冊くらいしか入らない量。少しでも軽量化するため、包装には文房具屋で購入したラッピングペーパーを使用。これは二重にしないと、運送中に大破することを事後的に学習した。(郵便局サイドで補修はしてくれるけれど。)48個送付したところ、何とちょうど半数の24個が事務ミスにより(!)航空便で到着。残りの24個は約4ヶ月後に到着。
  • Colissimo Emballage International:郵便局で販売している既成の段ボール箱(オレンジ色)を購入するシステム。航空便扱いなので、1週間程度で届く。追跡番号あり。私は重量制限7kgの41ユーロのパックを8個ほど利用。
  • Colis Economique International:上記の段ボールは比較的小型のため、ブーツや厚手のコートなどは1着で一杯になってしまう。主に冬の衣装を送るために、自由なパッケージで細かな重量制限無しに送れるこちらのサービスを利用。行きの引越で使ったヤマト海外引越用の段ボールを利用し、大2個、小1個を送付。段ボール大(10kg)で130ユーロほどだった。追跡番号あり。10日〜2週間ほどで到着したので、おそらくSAL便だと思われる。

上記colisとcolissimoの料金体系はこちら(pdf)。日本宛はver l'international(右端)のzone Dに該当。

書籍小包はこんな感じで郵送。まさしく「蟻さんの引越」。ぬいぐるみはイメージであり、小包には含まれません。