お知らせ

日仏美術交流シンポジウム「シュルレアリスムの時代−越境と混淆の行方」
■日 時:2009年11月22日(日)午前10:30〜18:00
■場 所:東京日仏会館 一階ホール
■主 催:日仏美術学会
■プログラム
10:30〜10:45 開会の辞・趣旨説明 高階秀爾(日仏美術学会会長・大原美術館館長)
10:45〜12:20 第1セッション 
基調講演
フランソワーズ・ルヴァイアン(CNRS研究ディレクター、アンドレ・シャステル研究センター)「1930年代のフランスと日本におけるシュルレアリスム絵画の曖昧性」Françoise Levaillant,« Les ambiguïtés de la peinture surréaliste en France et au Japon dans les années 1930 »
速水豊(兵庫県立美術館学芸員)「三岸好太郎シュルレアリスム」Yutaka Hayami,« Kotaro Migishi et le surréalisme »
12:20〜14:00 昼食
14:00〜15:20 第2セッション 
河本真理広島大学准教授)「下絵・模型(マケット)としてのコラージュ――シュルレアリスムのイメージの制作プロセス」Mari Komoto, « Le collage-maquette. Un processus créateur de l’image surréaliste »
鈴木雅雄(早稲田大学教授)「絵はいかにして〈動き出す〉のか――シュルレアリスム美術におけるリズムとフィギュールの問題」Masao Suzuki,« Comment un tableau peut-il “s’animer” ? – Figure et rythme dans la peinture surréaliste – »
15:20〜15:35 ティーブレイク
15:35〜16:55 第3セッション 
村上博哉(国立西洋美術館学芸課長)「ミロの寡黙な絵画」Hiroya Murakami,« Les œuvres taciturnes de Joan Miró »
ファブリス・フラユテズ(パリ・ウェスト・ナンテール・ラ・デファンス大学准教授「ハンス・ベルメールと日本」Fabrice Flahutez, « Hans Bellmer et le Japon »
16:55〜17:10 ティーブレイク
17:10〜18:00 全体討議(司会:高階秀爾
■シンポジウム概要
昨年、日仏交流150周年を記念して開催されたシンポジウム「日仏芸術交流の150年」で提起された、両大戦間における日仏の芸術の関係をめぐる問題を引き継ぎ、本年度は、とりわけシュルレアリスムを軸として日仏双方の芸術動向をめぐる諸問題について論議を深めるべく、本シンポジウムを開催する運びとなりました。フランスで起こった文学運動であったシュルレアリスムは、無意識や夢といった非合理的な世界を探求するものとして、その後ジャンルを越えて造形芸術・写真・映画といった分野に野火のように拡がり、さらに国境を越えてヨーロッパだけではなく日本に至るまで国際的な拡がりを見せるようになりました。「互いにかけ離れた二つの現実の偶然の出会い」を重視したシュルレアリスムは、そもそも異なる世界が出会う可能性に開かれていたと言えます。本シンポジウムでは、フランスからの招聘者をまじえ、シュルレアリスムをめぐるこの越境・混淆するダイナミズムに特に光を当てるものです。日仏の第一線の研究者によって美術史・文学・文化人類学を横断して展開される議論は、シュルレアリスムの孕む多様性・複数性を浮かび上がらせることでしょう。
問い合わせ先:E-mail:art-francojaponais@digital.email.ne.jp 
tel/fax 03-3280-2415

日本のなかの 《イタリア》― 文化表象にみるイメージの社会構築をめぐって ―
2009年11月6日(金)
早稲田大学戸山キャンパス 36号館382AV教室 新宿区戸山1-24-1(地下鉄東西線 早稲田駅 徒歩3分)
プログラム
9:30 -会場受付
10:00 - 10:15 開会
シルヴィオヴィータ(イタリア国立東方学研究所)
土屋 淳二(早稲田大学イタリア研究所)
コッラード・モルテーニ(在日イタリア大使館
ダヴィデ・ファントーニ(在日イタリア商工会議所)
基調報告
司会:シルヴィオヴィータ
10:15 - 10:45 ファウストコロンボ(ミラノカトリック大学)パエーゼ・レッジェーロ―イタリアにおける文化企業の現況
10:45 - 11:15 伊藤 公雄(京都大学)日本におけるイタリア・イメージ―戦前から現代まで
セッション? メディアとイメージ 
司会:土屋 淳二
11:30 - 12:00 鈴木 貴宇(早稲田大学
まじめな「チョイ不良(ワル)」・日本男性の憧憬―雑誌『LEON』から見える「イタリア」
12:00 - 12:30 トシオ・ミヤケ(京都大学 学術振興会研究員)日本における〈イタリア〉とは?―90 年代のイタリア・ブームにみる他者性としての西洋とナショナル・アイデンティティ
12:30 - 13:00 西村安弘(東京工芸大学)喜劇と西部劇―二つのイタリア式ジャンル映画をめぐって
セッション? 社会とイメージ  
司会:土屋 淳二
14:00 - 14:30 小谷 眞男(お茶の水女子大学)Badanti の時代におけるイタリア家族像
14:30 - 15:00 榎本 環(駒沢女子大学)イタリア人の働き方についての日本的イメージ
15:00 - 15:30 ファビオ・アスケーロ(慶応大学)日本人学習者におけるイタリア・イメージの形成
セッション? 文化とイメージ 
司会:パオロ・ソルダーノ(在日イタリア商工会議所)
15:45 - 16:15 アレッサンドロ・ジェレヴィーニ(早稲田大学)イタリアン・プライド̶ステレオタイプの容認と拒絶
16:15 - 16:45 ロッセッラ・チェッカリーニ(上智大学)日本のピッツア:食文化にみるグローカリゼーション
16:45 - 17:30 ラウンドテーブル・ディスカッション
17:30 閉 会 
問合せ先 ■早稲田大学イタリア研究所 E-mail wasedaitalia@hotmail.com
■イタリア国立東方学研究所 E-mail iseas@iseas-kyoto.org
Tel. 075-751-8132
プログラムのpdfファイル:http://s-url.jp?60664

日本では通俗的(というか、下世話)なレベルでやたらと美化されている両巨頭が、イタリアとフランスだろう。「まじめな「チョイ不良(ワル)」・日本男性の憧憬―雑誌『LEON』から見える「イタリア」」や「90 年代のイタリア・ブームにみる他者性としての西洋とナショナル・アイデンティティ」という題目は、かつての日本のマスカルチャーにおける「イタリア」イメージ――ポスト・バブル世代の私からすれば、ある種の粋がった中年にありがちな、正直「イタい」西洋崇拝――をどう「事実発見」し「分析」するのかという点で、興味を惹かれる。こういう研究のフランスヴァージョンはないのだろうか。文学者や画家など、いわゆる「ハイカルチャー」を担った人間の「フランス(パリ)憧憬」については、既に比較文化論や受容研究などの立場から、数多の研究が出ていそうだが。宝塚に代表されるような、フリルひらひらロココな「おフランス」イメージから、かつての『Olive』や、現在も星の数ほど出ているパリ系ムック本に凝縮された「文化系お洒落少女のための可愛いフランス」、あるいはパリ在住の精神科医が数年前に「発見」した「パリ症候群」などなど。(最後のトピックに関連して。ある種の在仏日本人ブログに漂う「病みっぷり」は、留学前にインターネットで情報収集しているときから気になっていた。在仏日本人ブログに特化したウォッチスレッドがあるのも――「観察」される人もする人も、何らかの徴候を示していると思うが――、「日本人にとってのフランス」の特殊性なのではないだろうか。)