一般信者向けに作られるキリスト教聖具には、独特のキッチュさがあって面白い。
下のリンク先は、19世紀の聖女テレジアを記念したブック型のロケット。幼年期のテレジアや関連ある教会の写真、マリア像などが収められている、たぶんかなり珍しいもの。
http://page10.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m38152221
伝統的なキリスト教美術に目が慣れてしまうと、写真による聖人という表現形式にちょっと吃驚する。

 
キリストが妙に今どきの若者風な「御絵」。左は実家から出てきたもの、右はこちらのサイトから。


中国の聖母子像を用いた「御絵」。代官山のアンティークショップMatild in the Garretで買ったもの。ほとんど観音様。玉座の背景の竹や棕櫚の葉など、突っ込みどころ満載である。裏には仏語で祈祷句が印刷され、Lyonとあるから、中国の図像を使ってフランスで作られたものだろう。同じお店には、南国風の聖母子の描かれたフィリピン製の御絵もあった。


これはヴィンテージのスカプラリオ。スカプラリオとは、キリスト教信者が首の前後に垂らして身につける、護符のようなものらしい。甘やかな三色スミレ(おそらくは、「謙譲のスミレ」たる聖母マリアの象徴)の傍らに、控えめに書かれた花文字のMとJが、それぞれMariaとJesusを表している。聖母やキリスト、その他諸聖人の像(icon)の描かれているスカプラリオやメダイはしばしば見掛けるし、キリストを「Xp」の略称で表したシンボリックな写本挿図や装飾などもよくある。けれども、シンプルに頭文字だけで、それも俗世の装飾風に聖人を表した意匠は珍しいように思う。お店の人も「珍しい品」と言っていたもの。