日仏会館催し

美術講演会「国立西洋美術館の現在と未来− 変様する日本文化の定点観測地 」
講師 青柳正規氏(国立西洋美術館館長)
11月14日(火)18:00 日仏会館1階ホール

昨年西美で小規模ながらピラネージ版画の所蔵品展示があったのは、青柳氏の館長就任に伴うものだという話を、どこかで聞いた。氏の専門は古代ローマ西洋美術史的に、とてもcanonicalなポジションであろう。
現代の日本に生きる自分が、「西洋」の「美術」の「歴史」を(あるいは、について)語ることに対しては、違和感や懐疑や自己規定の不安定さに対する不安がいつも付き纏っている。そういう曖昧で規定しがたい問題意識に対する、ある種の象徴的なトポスが、自分にとっては国立西洋美術館矢代幸雄なのだ。そんな個人的な思い入れをワールドワイドウェブで語られても困るだろうけど。
これまた余談だが、一方でヴィジュアル・カルチャー・スタディーズとかマテリアル・カルチャー・スタディーズと名指された方法論が興隆し、そしておそらくは持て囃されている反面、「文化」や「芸術」に対する古典的・伝統的な定義や価値序列、規範といったものも、それでもなお、生き延び続けているように思う。それは、「芸術学」と大雑把に総称される中の、多様な分野の人々と話していて体感する現実でもある。そして、確固とした基盤も信念や自己規定も持っていない自分は、どんな場所に出向いても、時折「what am I doing here?」というブルース・チャトウィン的懐疑に捉われる羽目になるのだ。
それはともかく、戦後に出来たばかりなのに「定点観測地」、西洋美術館なのに「日本文化の」と言い切れてしまう明快さと自信は凄いと思った。

日仏文化講座「啓蒙思想とフランス−知の復権をめざして」
連続講座 日仏会館1階ホール
第1回 11/2(木)17:30
導入 鈴木康司氏(日仏会館常務理事、元中央大学学長)「Honnête HommeからPhilosopheへ−VersaillesからParisへ」
鷲見洋一氏(慶応大学教授)「啓蒙時代初期のParis−絵画、音楽、演劇、都市計画など」
第2回 11/9(木)18:00
川出良枝氏(東京大学大学院教授)「モンテスキュー、『ペルシャ人への手紙』、『法の精神』」
第3回11/16(木)18:00
小林善彦氏(東京大学名誉教授、日仏会館副理事長)「ヴォルテールとルソー」
第4回11/30(木)18:00
中川久定氏(日本学士院会員、京都大学名誉教授)「ディドロダランベール、『百科全書』をめぐって」
第5回12/1(金)18:00
遅塚忠躬氏(お茶の水大学名誉教授)「啓蒙思想と大革命」

復権」ってこれまた凄いななんか。