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- 作者: ジャックデリダ,Jacques Derrida,高橋允昭,阿部宏慈
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 1997/12
- メディア: 単行本
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レーベンシュテイン氏への言及が、この書で一度(彼によるメイヤー・シャピロの仏訳と、そして彼の「全著作」に目を通すべし、とデリダは註に書いている)、『基底材を猛り狂わせる』でも一度出てくる。
ひとまず、(美術史研究の文脈では)最も人口に膾炙していると思われる部分を抜粋。
パレルゴンは、作品(エルゴン)でもなく、作品の外にあるものでもなく、内部でも外部でもなく、上部でも下部でもなく、あらゆる対立を掻き乱しながら、しかも規定されぬままにあるわけではなく、そして作品に場所を与える(作品を生み出す)ものである。それがその場に置くもの――額縁や、タイトルや、署名や、解説[ルビ:レジャンド]の、もろもろの審級――は、もはや絵画に関する言説の内在的な秩序を、絵画の作品、その流通、その評価、その剰余価値、その投機、その権利、そしてそのヒエラルキーを、乱し続けずにはおかないだろう。
(上巻、16ページ)