ロワール河岸の思い出


奨学金の関係で、ブルゴーニュ西部にあるヌヴェールという街を訪れた。そのときの断片。
  

午後の2時間ほどを割いて、オプションとして催されたガイド付き小ツアーに参加。まず現在は市庁舎の置かれているPalais ducalを見学する。中世とルネサンスの混合様式。軒下と中心の塔には、アレゴリカルな浮き彫りが施されている。騎士ローエングリンの冒険物語が展開される一方で、塔に彫られた鷲はイタリア系のゴンザーガ家による統治を象徴している。(ゴンザーガ家は一時期この地域の君主だった。)最上部にある緞帳のレリーフは、フランス国王のマントを意味するのだそう。そう言えば国王戴冠式の場として知られるランスの大聖堂にも、「カーテンの襞」をモティーフにした浮き彫りがあった。あれも王権の象徴だったのだろうか。


続いてゴシック式の尖塔とガーゴイルが目を引く大聖堂の内部へ。大部分はフランボワイヤン・ゴシックの作りだが、一部にロマネスク様式が残っている。そこには修復の際に現れたというイコンが。ビザンツの伝統である「キリスト・パントクラトール(全能の神キリスト)」を思わせる構図。


地下には紀元後6世紀の洗礼堂が眠っているという。異なる時代の記憶と様式が、一つの空間の中に混成獣のように寄せ集まっている。
その他の写真は、まとめてこちらに。http://f.hatena.ne.jp/baby-alone/Nevers/