Salutation, subjugation, humiliation : L'Annonciation au risque de la lutte

毎週あるオムニバス形式のセミネール、今日はBertrand Prévost氏による講義だった。EHESS(パリ高等社会科学研究所)で博士号を取得後、現在はパリ第1大学(Panthéon-Sorbonne校)で教鞭を取っているという、まだ若い美術史・美術理論研究者である。
クアトロチェントの「受胎告知」図における、大天使ガブリエルと聖母の「身振り」(geste)がテーマ。手を振り上げて歩み寄るガブリエルの身振りが、ヴァールブルクの言う「ニンファ」の身振り、さらには腕を振り上げる「戦闘」の身振りと重ね合わされる。
ディディ=ユベルマンやそのヴァールブルク理解に大部分を負っている理論で、どこからがプレヴォ氏の独自性なのかは、今日の講義だけでは定かではないけれど、久し振りに自分の専門に近い講義が聴けて、よい刺激になった。
講義の始まる前、スクリーンに映し出された彼のPCのデスクトップには、一面にファイルやドキュメントのアイコンがグリッド状に並んでいて、まるでムネモシュネみたいだと思っていたら、本当にムネモシュネについての講義で驚く。びっしりと並んだアイコンの中から、必要なファイルを迷うことなく探し当てていたので、あれはきっと「良き隣人の法則」通りにならんでいるのだろう。
時折、PC内ファイルの階層構造が妙に個性的な人がいる。その人の思考のフレームが伺えるようで、面白い。

その他、ウェブ上で拾い集めた断片

ちょっと「典型的」というか、理論構成が見えてしまう「分かりやすい」タイプのような気もするけれど。遠い街に来て偶然出会った、思考を共有できそうな人物だから、ちょっと盲目的になっているのだろうな。(それでも、共依存気質のクラスターBに振り回されるよりはずっとましだろう。)講義のとき、何の気無しにポケットに手を入れたらバスの切符に当たったらしく、それを教壇の隅の屑篭に投げ入れようとして思いっきり外していたのが、なんだか可笑しかった。