お知らせ2点

1. 11月10日(土)に山形大学にて、表象文化論学会第13回研究発表集会が開催されます。私は午後一(13:00〜15:00)の「研究発表1」にて、司会を務めます。翌11日には学会関連イベントとして、「バザン・レリス・闘牛──映画『闘牛』の上映とワークショップ」もあります。秋深い山形で芋煮を片手に、知的な興奮を噛み締めましょう。
https://www.repre.org/conventions/13_1/


2. 11月24日(土)に立教大学で開催される下記の公開シンポジウムに、私も登壇いたします。皆様のご参加をお待ちしております(立教大学関係者でなくともご参加いただけます)。

公開シンポジウム「セレブリティの呪縛:18〜20世紀フランスにおける著名作家たちの肖像」
日時:2018年11月24日(土) 13:00〜19:30 
場所:立教大学池袋キャンパス 11号間3階 A304教室
(事前申し込み不要、参加費無料)


【趣旨】
現代のセレブリティやスターのような、不特定多数の視線に晒される存在の先駆けとして、18〜20世紀フランスで活躍した作家・芸術家・思想家たちを捉え直すことはできないでしょうか。創作活動によって彼ら彼女たちが「著名人(セレブリテ)」になったのは紛れもない事実です。ですが、同時に、「著名性(セレブリテ)」は彼ら彼女らの作品の創造や思索にも決定的な影響を与えたのではないでしょうか。サルトルにはじまり、ピカソユルスナールバルザック、サンド、スタンダールシャトーブリアン、ルソー、ヴォルテールといった有名作家・芸術家・思想家たちが、「著名性」ととり結ぼうとした関係について検討します。


【タイムテーブル】
13:00〜 開会の辞、シンポジウム趣旨説明
開会の辞 吉岡知哉(立教大学名誉教授)
趣旨説明 齋藤山人(日本学術振興会特別研究員)
総合司会 桑瀬章二郎(立教大学文学部教授)


13:15〜 第1部 偉人たちの格闘(あるいは饗宴)
司会/コメンテーター 吉岡知哉


15:05〜 第2部 セレブリティを著す:有名作家たちの内省
司会/コメンテーター 小倉和子(立教大学異文化コミュニケーション学部教授)


16:55〜 第3部 “モダン・タイムス”の狂騒
司会/コメンテーター 森本淳生(京都大学人文科学研究所准教授)


18:45〜19:30 全体討議


【お問い合わせ】
立教大学学部事務1課 文学科フランス文学専修担当 TEL:03-3985-3392
齋藤山人 yamatosaito[a]rikkyo.ac.jp
桑瀬章二郎 skuwase[a]rikkyo.ac.jp
([a]を@に変えて送信してください)


【主催】
立教大学文学部文学科


【キャンパスマップ】
http://www.rikkyo.ac.jp/…/qo9edr00000…/img-campusmap_ike.pdf


【ウェブサイト】
http://www.rikkyo.ac.jp/events/11/mknpps000000k3w4.html
http://www.rikkyo.ac.jp/foot-bungaku/flyer3Script2.htmスマートフォン向けJavaScript

セルフFD:マージナル/非選抜型/ボーダーフリー大学で人文学を教えるということ

轡田竜蔵「地元志向と社会的包摂/排除」、樋口明彦編『若者問題の比較分析―東アジアの国際比較と国内地域比較の視点』(法政大学科研費プロジェクト「公共圏と規範理論」論文集)、2009年、151-170ページ。
http://soc.hosei.ac.jp/kakenhi/ronbun/pdf/2008/kutuwada2009.pdf

こうした実態を踏まえれば、高度大衆教育社会がこうしたノンエリートの地元志向の若者を包摂しようとするために必要なのは、過酷な労働力市場に適応すべく、規律訓練の強化によって職業レリバンスを高めるような専門学校化への道筋よりも、むしろ大学の自由を生かしながら、労働力市場によって「無能力」と烙印を押されたさいの「自分自身からの排除」をいかに防ぐために、「精神的な“溜め”」を作っていくという観点ではないだろうか。
(上掲論文、167ページ。)

以下の公開講座に登壇いたします。


・今年も京都造形芸術大学藝術学舎公開講座にて、「身体とファッション」の集中講義を行います(9/4(火)・9/5(水)の2日間)。ご参加予定の方、よろしくお願いします。
https://air-u.kyoto-art.ac.jp/gakusha/stgg/coursedtls/courseDetail/G1821107
(受講申込は終了しております。直前のお知らせになってしまい申し訳ないです。)


京都大学こころの未来研究センター主催公開講座「芸術と〈毒〉」に登壇します。
対象は「学生・研究者」とありますが、無所属・在野を含めた広義の「研究者」と解釈して大丈夫だと思います(たぶん)。9月16日に京都にお越しいただける方はぜひ。

9月16日(日)、学生・研究者を対象とした公開講座 「芸術と〈毒〉」を開催します。
〈毒〉とは、避けるべきものでしょうか? 〈薬〉が用い方しだいで〈毒〉にもなるように、〈毒〉も本当は私たちの世界や人生にとって重要な役割を果たしているのではないでしょうか? この公開講座ではこのテーマについて、アートを通して考えてゆきます。

▽日 時:2018年9月16日(日)11:00〜17:30
▽場 所:京都大学稲盛財団記念館3階 大会議室
     京都市左京区吉田下阿達町46(川端近衛南東角)
▽講 師:吉岡洋(京都大学こころの未来研究センター特定教授)
     加藤有希子(埼玉大学基盤教育研究センター准教授)
     大久保美紀(パリ第8大学造形芸術学部講師)
     小澤京子(和洋女子大学人文学部准教授)
▽参加費:無料
▽対 象:学生、研究者
▽主 催:京都大学こころの未来研究センター
申込方法:申込は不要です
問合せ:yoshioka.hiroshi.7s*kyoto-u.ac.jp
(*を@に変えてお送りください)
http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/jp/event2/2018/08/20180916-Yoshioka-JT.php

【追記】こころの未来研究センターウェブサイトに、上記公開講座の報告がアップロードされています。
http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/jp/news2/2018/09/20180916-Yoshioka-JT.php

フランス革命後の国家的英雄と建築(「著名性」シンポジウム準備)

参考文献
・James A. Leith, Space and Revolution : Projects for Monuments, Squares, and Public Buildings in France 1789-1799, Montreal: McGill-Queen's University Press, 1991. (Ch. 4: Temples for the nation and its heroes). 自宅
ブレ他の建築家による国民議会(Asemblée nationale)の建築案、それからサント・ジュヌヴィエーヴ=パンテオン建築案数点が収録されている(図版多め)


・Geneviève Bresc-Bautier et Béatrice de Chancel-Bardelot, Un musée révolutionnaire : le musée des Monuments français d'Alexandre Lenoir, cat. expo., Paris, musée du Louvre(7 Avril 2016 au 4 Juillet 2016), Paris : Hazan, 2016. 研究室
アレクサンドル・ルノワールによるフランス記念物博物館の「エリゼ」(フランス史上の「偉人」の墓碑と遺骸を蒐集し庭園に配する企画、その後パンテオン計画が持ち上がり実現せず)について、記載と図版資料あり。


・泉美知子『文化遺産としての中世:近代フランスの知・制度・感性に見る過去の保存』三元社、2013年。研究室
同上


余談:フランス語の論文に関しては、MLAやChicagoのようなスタイル・マニュアルが無いようだが、文献表記法についてはパリ第1大学(パンテオン=ソルボンヌ)が公開しているガイドラインを見つけた。
http://www.pantheonsorbonne.fr/fileadmin/Publi_Sorbonne/Recommandations_biblio_mars_2013v1_04.pdf
巻末の参考文献一覧ではなく、脚注などで出典を表記する際の慣行的な表記法とのこと。

 
拙著『ユートピア都市の書法:クロード=ニコラ・ルドゥの建築思想』法政大学出版局、2017年7月下旬に配本予定です。装幀は奥定泰之さんに手掛けていただきました。実物は銀箔を捺した部分が光ります。


法政大学出版局ウェブサイト:http://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-78609-9.html
版元ドットコム:http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784588786099
Amazon.jp:https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4588786091/

ユートピア都市の書法

ユートピア都市の書法


【ERRATA】
Quatremère de Quincy, Dictionnaire historique d’architecture, tome 3, p. 629.
Quatremère de Quincy, Dictionnaire historique d’architecture, tome 3, p. 629.
Quatremère de Quincy, Dictionnaire historique d’architecture, tome 3, p. 630.
正:すべて「tome 2」(ページ数は合っています)


【書評など】
『みすず』2018年1・2月合併号「読書アンケート特集」で、谷川渥氏が拙著『ユートピア都市の書法』を挙げてくださいました。


図書新聞』2018年3月3日号にて、多賀茂氏(フランス18世紀研究)が拙著『ユートピア都市の書法:クロード=ニコラ・ルドゥの建築思想』法政大学出版局、2017年を評してくださいました(「 ルドゥのたぐいまれな想像力に真正面から取り組む――建築と人間との多様で不可避な関係を見事に描き出す」)。
http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/shinbun_list.php?shinbunno=3341
自分の顔を見るのが難しいように、書いたテクストも活字になると自分から逃れ去っていってしまうような気がするのですが、この書評では拙著の要旨と研究史における位置付け、そして賭金を、明晰に説明していただきました。
紙面では「建築・美学・批評:芸術を哲学する五冊」と題されたコーナーで、アドルフ・ロースポチョムキン都市』、アーサー・C. ダントー『ありふれたものの変容:芸術の哲学』、田之頭一知『美と藝術の扉』、ノエル・キャロル『批評について:芸術批評の哲学』とともにご紹介いただいています。


表象文化論学会誌『表象』第12号(2018年)に、大橋完太郎氏による書評が掲載されています。テクストとしても「読ませる」魅力を持ち、さらには著者である私自身が実は巧く言語化できていなかった著作の賭金と、さらには次なる課題を剔抉する書評。
http://getsuyosha.jp/hyosho/hyosho12.html


建築史学会誌『建築史学』第71号(2018年9月)に、白井秀和氏による書評が掲載されています。

散種 (叢書・ウニベルシタス)

散種 (叢書・ウニベルシタス)

「[…]色を意味するパルマコンという単語は、まさに魔法使いや医者の薬にも適用されるものではないか。呪術師たちは呪文を唱える際に小さな蝋人形に頼るのではないか*1」。呪い〔魅惑〕とはつねに、絵によるのであれ彫刻によるのであれ、なんらかの表象の効果であり、表象は他者の携帯を捕獲し捕縛する。[中略]したがってパルマコンという単語は、絵の色のことをも、すなわちzographèmeが書き込まれる素材[ルビ:マチエール]をも指すのだ。
(224ページ)

『国家』も画家の使う色彩をパルマカと呼んでいる〔420c〕。つまりエクリチュールと絵画の魔法は、死者を生身のように見せかけて偽る白粉[ルビ:おしろい]の魔法なのである。パルマコンは死を導入しかくまう。それは死体によい顔色[ルビ:フィギュール]を与え、死体に仮面を被せて化粧をする。
(227ページ)

*1:P. M. Schuhl, Platon et l'Art de son temps, p. 22.

文献メモ

丹羽和彦「エコール・ポリテクニクにおける初期の建築教育とデュラン:J.-N.-L.デュランの建築教育の理論的特質に関する研究(1)」、『日本建築学会計画系論文報告集』第412号、1990年6月、153-163ページ。
丹羽和彦「教育プログラムからみたエコール・ポリテクニクにおけるデュランの建築教育の理論的特質:J.-N.-L.デュランの建築教育の理論的特質に関する研究 (2)」、『日本建築学会計画系論文報告集』第418号、1990年12月、135-145ページ。
丹羽和彦「L.-P.バルタールの「建築の勉学に資する概要表」について」、『日本建築学会計画系論文報告集』第447号、1993年5月、155-166ページ。


・オーダー理論の後退、人体とのアナロジーの否定→ロージェの「原始の小屋」概念、J. -F. ブロンデルの「建築の観相学」からの転回

[…]オーダーの起源を見出すのに小屋の形に頼る必要がないと同様に、もはや人体の比例に頼る必要がないことを見よう。 Durand, Précis, p. 54. (邦訳39ページ。)