「こうしてわたしはイタリア人の太古の知恵をラテン語そのものの起源から導き出すことを思い立ったのであった」

イタリア人の太古の知恵 (叢書・ウニベルシタス)

イタリア人の太古の知恵 (叢書・ウニベルシタス)

古代ローマ人の使用したラテン語の起源を、「学識ある民族」たるイオニア人エトルリア人に求める記述がある。ピラネージの建築エトルリア起源説への影響。

ラテン語が十分に学問的な言い回しで満ち満ちていることがわかり、また古代のローマ人がピュロスの時代にいたるまでずっと農耕と軍事にしか従事していなかったことは歴史が証言しているところであるので、かれらはそれらを別の学識ある民族から受け取って原義を理解せぬままに使っていたのではないかとわたしは推測した次第である。
ところで、彼ら[古代ローマ人]がそれら[ラテン語]を受け取ることのできた学識ある民族は二つ、イオニア人エトルリア人であったことがわかる。
(24ページ)

エトルリア人がきわめて学識豊かな民族であったことはかれらが神を祭る荘厳な儀式に関する理論において傑出していたことから確認される。[・・・]しかしまた、エトルリア人の建築が他のいずれよりも簡素であることはかれらが幾何学においてギリシア人に先んじていたことの重大な証拠を提供している。
(24−25ページ)