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- 作者: リヴィエール,飯島耕一
- 出版社/メーカー: 思潮社
- 発売日: 1975
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悪しき夢想者
ぼくの夢はまず第一に一杯のリキュール酒だ。一種の嘔吐の水だ。そこにぼくは潜りその水は血の色をした雲母を流す。ぼくの夢のいのちのなかでも、ぼくのいのちのそのいのちのなかでも、ぼくは何かのイマージュの深みにふれることがない。ぼくの夢という夢には出口がない、城砦がない、市街図がない。まったく黴くさいばらばらの手足だけだ。
ぼくはその上、自分の考えていることがわかりすぎて、そこで起ることに興味がもてない。ぼくは一つのことしか求めない、それは自分を決定的に自分の思考のなかに閉じこめることだ。
してぼくの夢の物理的な外見はどうかというなら、ぼくはそれをすでにあなたに告げた。すなわち一杯のリキュール酒だ。
(アントナン・アルトー、ジャック・リヴィエール『思考の腐触について 附・アルトー詩集』飯島耕一訳、思潮社、1975年、82-83ページ)