バルセロナ現代美術館(MACBA)

1ヶ月半くらい間が空いてしまったが、バルセロナレポートの続き。

ミニマルな近代建築は、無機的で冷たく、自分の身体に馴染まないという印象を受けることが多い。しかし、リチャード・マイヤー設計のこの美術館は、モダンなホワイトキューブながら、壁の白が見せる表情は静謐で柔和である。バルセロナの初冬の陽光が、スリットを通して廊下に降り注ぐ。
所蔵されている作品にも、それらを展示する際の空間の使い方にも、統一された美意識が感じられた。近現代アートの作品と言えば、感覚を突き通すような、不快の感情に近い印象を呼び起こすものも多いが、MACBAの展示はみな穏やかに美しい。そういう展示のあり方が一義的に望ましいのかは疑問だけれど、個人的な趣味としては、とても好きな空間だ。