Bibliothèque Municipale


21日の日曜日のこと。この日はフランス全土が「文化遺産の日」。旧市街にあるBibliothèque Municipaleでも普段は一般公開されていない部屋や資料についてのガイドツアーがあると聞きつけたので、いそいそと出掛けた。この図書館はもともとはイエズス会の神学校(コレジオ)として作られたもの。18世紀初頭にはbibliothéquaire制度、蔵書分類制度を備えた公開(publique)の図書館となり、ついでディジョンのアカデミーが併設され(ルソーの『学問・芸術論』と『人間不平等起源論』は、ディジョン・アカデミーによる懸賞論文として書かれたものである)、そして今日の市立図書館へと至る。
普段は職員しか立ち入りのできない2階の貴重書・古書保管書庫に、この日は特別に入室できた。革表紙に金文字の本が、当時特注したという書架に並べられている。神学校だったという沿革のためか、ここにはキリスト教関連の総記が多い。
  
この図書館の名物(?)である巨大な地球儀は、この日すらも立ち入り禁止の部屋に安置されていた。上の2枚は、遠くからドア越しに撮った写真。18世紀半ばに作られたものだという。(地球儀の部屋の全貌は、閲覧室で販売されている絵葉書で見ることができる。)
 
展示されていた貴重書。左は天文学についての書物で、星座表が付いている。実際に動かしてみることができる、一種のキネティック・ブック。右は1708年に刊行された、閏年についての書物。新月や半月を擬人化したアイコンが、なんだか愛嬌があって楽しい。
 
普段は閉鎖されている「アカデミーの部屋」の内部見学もできた(左)。「博士の肖像」よろしく、アカデミーに貢献のあったらしき貴族たちの肖像画が飾られている。(いやむしろ、学問の場に肖像画を飾るという日本の大学にありがちな伝統は、こちらのアカデミーが本場なのだろう。)右は、2階の貴重書書庫へと登る螺旋階段の途中にあった扉。ここがpubliqueな施設となったのは1708年、ひょっとしたら300年前の文字かもしれない。