urban archeology

たまたま立ち読みしたファッション誌『Numéro』の8月号に掲載されていた廃墟写真家コンビ、Yves MarchandとRomain Meffre。さっそくオンラインで検索してみたら、本人たちのサイトとブログが出てきた。
サイト:a work in contemporary ruins & urban archeology(英語)
ブログ:journal(仏語)

この写真()やこの写真()などは、2000年前後の廃墟写真ブームの頃によく登場した、神戸の摩耶観光ホテルを連想させる。廃墟の形態そのものが近似していることもあるが、写真の写し方、情景の切り取り方も日本の廃墟写真とよく似ているのだ。
彼らが好んで写しているのは、かつては豪華だったであろう古典主義的な劇場や、大型の機械が並ぶ近代的工場の廃墟。(フランスを拠点として活動しているらしいのに、撮影地が東ドイツアメリカなのも面白い。)発展や繁栄というかつての夢が潰えた後の、巨大な人造物の残骸である。ここに写されている廃墟は、過去の栄光へのノスタルジーを喚起するものではなくて、むしろ世界が終末を迎えた後の、虚無や寂寥の支配する虚ろな場所に近いように思われる。

   
  
   
  
これは廃墟ではないけれど、どこか時間の流れから捨て去られたような感のある建物。Hôtel Roydetという名で、ギリシア式の柱頭や模造彫刻と葡萄酒色の壁紙、獅子やバッカスの顔の並ぶ手摺やコーニスなど、目眩がするほど様式の混乱した不思議な館である。