少し前のことになるが、書くのを失念していたので。F.カフカの『城』を読了。「中間」の過程が延々と遅延したまま――どの道程を辿っても辿り着けない城だとか、配達されない手紙だとか、到着しない使者だとか――、物語は突然中断してしまう。(作者側の事情を考えれば、それはつまり「未完」ということなのだが。)

ひとつひとつの場面の描写も、まるでカメラの長回しのような冗長さだ。

待ち望むものが来ないまま、クライマックスもカタルシスも欠落させて物語が終わってしまうという点では「ゴトー待ち」状況を連想させる。(さらに『城』では、主人公のKがなぜ測量師として城に召喚されているのか、城とはどのような場所なのか、具体的な状況や背景は捨象されたまま物語が進んでゆく。)

あるいは、中間領域における遅延のために絶対に目的地に辿り着けないという点で、「アキレスと亀」の逸話のようでもある。