平穏な日常にささやかな賭け事を導入する試みとして、最近は「レンタルショップに並んでいるCDジャケットのうち、いちばん気に入ったものを借りてくる」という実験をやっている。ハイリスクに見えて、その実あまり「外した」ことがない。その中でも個人的に気に入ったものをいくつか。

Harmony in Ultraviolet

Harmony in Ultraviolet

FIZHEUER ZIEHEUER

FIZHEUER ZIEHEUER

Hostluft

Hostluft

Malady of Elegance

Malady of Elegance

視覚芸術には古くから言語化の試み(=エクフラシス)が存在するけれど、音楽を言語によって描写するのは困難だ。描画主題や色彩、色調を延々とテクスト化したものは、批評や文学たりえるけれど(例えば、18世紀から19世紀にかけて盛んに書かれたサロン評)、聴こえてきた音を言語化するだけでは、日常言語による記譜になってしまう。逆に言えば、ライナーノーツや店内のポップに書かれた言葉から、対象となっている音楽を想像することは不可能に近い。(音楽が基本的にはミメーシスの芸術でないこととも関連するのかもしれない。)普段は「イメージ」と「テクスト」ばかりと取り組んでいるので、たまに違うメディアに触れてみると面白い。