死化粧師オロスコ [DVD]

死化粧師オロスコ [DVD]

剥がれた顔の皮膚が頭蓋骨に綺麗に貼り付く、という場面があると知ってから、この作品を観たいという欲望から逃れることができないでいる。一度剥がれた顔を貼り付け直す(本来は一体として頭部を形成していた「顔」が、あたかも仮面のような他者性を帯びる)というところに惹かれる。

顔面に貼り付く他人の表皮、というテーマでは、ジョルジュ・フランジュの『顔のない眼』と勅使河原宏の『他人の顔』はお気に入りの作品。(特撮技術の拙さゆえの、移植された「他人の顔」の奇妙で不気味な物質性が良い。)ジョン・ウー監督による『フェイス/オフ』という映画もあるが、こちらは未見。FBI捜査官とテロリストの顔が、入れ替わるというもの。これはむしろ、顔とアイデンティティや社会的な位置付けをめぐるものだろうか。