カファルド―小説 (1976年)

カファルド―小説 (1976年)

その後立ち寄った神保町の喫茶店(古書も販売している)で、たまたま見つけた一冊。ボナはアンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの妻。ギリシアで書かれたという、どこか非現実的で鉱物的な肌触りの文章。喫茶店の席で斜め読みしただけなのだが、月光を浴びる彫像の描写や、「私が部屋に還ると、血が流れるだろう」との不穏な結末が、記憶に強烈な印象を刻む作品だった。今思うと、2,000円の値段は破格だったかもしれない。