BESETO(北京、ソウル、東京)三都市のネットワークの下開催された国際学会のため、厳寒のソウルへと赴く。観測史上初という積雪に見舞われ、市街地からは雑木林で隔てられたソウル大のキャンパスで、雪と寒さの中に閉じ込められているかのような二日間を過ごす。
本来は哲学系の若手研究者のためのカンファレンスとのことで、自分の領域の外部にある発表も多かったが、逆に「他者」の思考枠組やコミュニケーションの作法に触れることができ、自分を客観化するよい機会となった。
最終日は飛行機の時間になるまで、景福宮故宮)と明洞、南大門市場を見てまわる。景福宮は建築物の配置関係と、細部における日本との差異(障子の桟の意匠、築地本願寺を思わせる、屋根上や門柱の幻想獣たち、石よりも目地の方を盛り上げてつくる石組など)が面白かった。明洞は原宿竹下通り、南大門市場は上野のアメ横を連想させる場所。
ソウルの街は文字さえ見なければ東京によく似ているけれど、ときおり微細な違いに出会す。(例えば車は左ハンドル右通行だし、看板や商品パッケージにローマ字表記を多用したがる日本と違って、韓国ではほぼ全てがハングル表記だ。)明らかに血の繋がりが見て取れるのに、顔立ちをよく見るとあらゆる部位が少しずつ異なっている、そんな兄弟のような感じだろうか。