美術の中の身体

図書館の書架の間を遊歩しているときに見つけた2冊。(ともに、日本の大学図書館には所蔵なし。)

http://www.amazon.fr/dp/287749019X/
Michel Lemire, Artistes et mortels, Bourges: Chabaud, 1990.
A4版450ページに及ぶカタログ的書物。この分野に関してはディディ=ユベルマンも執筆に携わった3カ国語表記のEncyclopedia anatomicahttp://www.amazon.fr/dp/3822855103/)もあるけれど、上記の書物の方が網羅的かつ説明的な印象。オンラインで調べてみたところ、荒俣宏『衛生博覧会を求めて』ぶんか社、1997年、173ページにこの書への言及があるらしい。

http://www.amazon.fr/dp/2732426733/
Karl Gröning, Les Mains des hommes : Toucher, saisir, façonner, Paris:Editions de La Martinière, 2001.
宗教的な呪物、古典的な絵画作品から報道写真や映画スチールまで、「手」をテーマとする視覚芸術を集めた大判画集。テクストは図版説明のみ。収められた作品のうち面白いと思ったのは、1960年の浅沼稲次郎暗殺事件の報道写真。

(上掲書に収められている図版では、左側が少し切断されており、眼鏡の男性の肘から先しか写っていない構図となっている。)
撮影は長尾靖。画面内に収められた4組の腕(内2組は、持ち主の身体は殆ど写っておらず、いわば匿名の腕である)は、状況の緊迫感を伝えると同時に、互いに言葉を交わし合っているかのようでもある。