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- 作者: 西條八十
- 出版社/メーカー: 日本図書センター
- 発売日: 2004/03/25
- メディア: 単行本
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下りて来い、下りて来い、
昨日も今日も
木犀の林の中に
吊つてゐる
黄金の梯子
瑪瑙の梯子[…]
月は埋み
青空は凍てついてゐる、
木犀の黄ろい花が朽ちて
瑪瑙の段に縋るときも。
「梯子」
天空への通路を思わせるモティーフは、この詩集に収められた他の詩篇にも頻出する。そこに表れているのは、例えばキリスト教的な聖性への信仰などではなくて、むしろ辿り着くことのできない場所への憧憬と静かな挫折感、諦念に近いように思う。
不透明なガラスや玉のイメージも面白い。澄みきった透明ではなくて、視界を遮る硬質な物質。盲者が出てくる詩が多いのも、「遮られた視覚」というテマティスムなのか。月光、洋燈の明かり、蝋人形、象牙、燻銀、瑪瑙など、冷たい鉱物的な詩情の世界である。
ちなみに、「トミノの地獄を全文音読すると死ぬ」という都市伝説を最初に(書籍の形で)紹介したのは、四方田犬彦氏のエッセー『心は転がる石のように』だそう。
- 作者: 四方田犬彦
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2004/12/08
- メディア: 単行本
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