左)Sandoro Botticelli, Cestello Annunciation, 1489-90.
右)Giotto di Bondone, Noli me tangere, 1320s.
先週の日曜日(3月23日)が復活祭(Pâques)で、来週の月曜日(3月31日)が受胎告知の日(Annonciation)。だから話題にするわけでもないのだけれど、上記の2枚の図版、構図(人物の配置)も登場人物たちの身振りも驚くほど共通している。この二つの出来事は、受肉と肉体の復活、肉体への非物理的な接触(マリアの受胎)と接触の禁止(我に触れるな)という点でも、共通軸上の二項対立をなしているのではないだろうか。神学的な知識がないまま思いつきを書いているので、見る人が見ればとんでもない議論かもしれないけれど。
受胎告知は室内の出来事で(空間表象が受肉の玄義と結びついている)、「我に触れるな」は屋外の出来事(背景はたいてい長閑な田園風景で、キリストは庭師として描かれる)。だから両者では、「空間」のもつ象徴的な意味合いは全く異なっているわけだが。