Henri storck, "Paul Delvaux ou les femmes defendues"
ベルギーのシュレアリスム的画家、ポール・デルヴォーについての25分の短篇ドキュメンタリー。前半はデルヴォー自身による制作過程や描画モティーフについての語り、後半はアフォリズムめいたナレーションとともに、ただひたすらデルヴォーの絵のディテールがクロースアップで映し出される。強調された遠近法のせいもあって、絵画の偽の空間の中に、自分までもが彷徨い込んでしまったような錯覚に陥る。Est-ce que l'enfance etait plus claire, plus sombre que la memoire?
ちなみに、デルヴォーの絵画世界を文字通りanimateしたものとして、ラウル・セルヴェの『夜の蝶』がある。一匹の蝶(psyche)が部屋に迷い込むと、それまで平面の中に静止していた二人の女性像(デルヴォーが繰り返し描いた、乳房を露出させた眼の大きく虚ろな女性)が、発条仕掛けの人形のように動き出すのだ。