読了本

カルチュラル・スタディーズ入門 (ちくま新書)

カルチュラル・スタディーズ入門 (ちくま新書)

藝大に行ったら「geidai art plaza」という、恐らくは独行法下でのUI戦略のための売店が出来ていて、そこで購入。簡潔に要点が抑えられていると思う。(自分は社会学もCSも専門家ではないので、収められるべき情報が網羅されているかどうかの判断はつかないが。)なぜcultural studiesという手法は常に政治的批判性を担保せねばならないのか、いわゆるマイノリティーの「声」を無条件に肯定しすぎているのではないか、など、公理を装って下されている価値判断の前提に疑問を差し挟み始めたら限がないけれど、そこは新書の入門書ということで。

この書の大意からはだいぶ逸れるが、イギリスでの多文化主義・反人種主義教育の結果について述べた下り――「多文化主義であれ反人種主義であれ、そうした教育を受けた生徒たちが、そこに学校の権威主義を嗅ぎとり、教育の結果ますます人種差別的になるという皮肉な報告までなされるようになった」(149頁)――には、ああやっぱり、と思った。近年指摘されている若者の右傾化の要因には、多少なりとも「学校教育」や「教員」、つまり日常的な権威に対する反発と、一種の幻想暴きの快楽(今までの教科書や教育は実は間違っていたんだよ、真実はコレなんだよ、と提示されることに対する感動)があるのではないかという印象を持っていたので。
「教育」は、常に順接的に受容されるとは限らないから、難しいと思う。