2016-09-30 ■ 比喩の宇宙軌道 蛙が殺された、 子供がまるくなつて手をあげた、 みんないつしよに、 かはゆらしい、 血だらけの手をあげた、 月が出た、 丘の上に人が立つてゐる。 帽子の下に顔がある。 (萩原朔太郎「蛙の死」、『月に吠える』1917年) あけがたの黒いミルク 僕らはそれを夕方に飲む 僕らはそれを昼に朝に飲む 僕らはそれを夜中に飲む 僕らは飲む そしてまた飲む 僕らは宙に掘る そこなら寝るのに狭くない (パウル・ツェラン「死のフーガ」、『パウル・ツェラン詩集』飯吉光夫訳、小沢書店、1993年、18-21ページ)