ナジャ (岩波文庫)

ナジャ (岩波文庫)

巌谷國士による訳者解説より】
「痙攣的」な美は、『ナジャ』という書物そのものと連続する観念である。ドキュメントをめざしながら心情にゆれうごき、慣用句をねじまげたりイタリック体による強調で意味をずらしたり、行アキや点線によって断絶をあらわにしたりしながら、「不随意的なぎくしゃくした収縮:を不規則にくりかえす『ナジャ』の展開こそが――そしてその間に不連続的に生起する「符合」や「接近」の様相もまた――、痙攣的という言葉にふさわしいように思われる。
アンドレ・ブルトン『ナジャ』巌谷國士訳、岩波文庫、2003年、341-342ページ。)