約3ヶ月前の日記に書いたDictionnaire portatif des Beaux-arts(改訂版1759年、L.M.+++. Avocatの名の下に刊行された初版は1752年)を、公立図書館で漸く閲覧する。その「完璧な自然(Nature parfaite)」の項では、完璧な自然模倣を実現するためには、つまるところ古代作品を模倣せねばならないことが説かれている。これは、ドイツのヴィンケルマンが『ギリシア美術模倣論』(1755年)において、自然模倣は古代模倣に劣ると主張していたのとは明らかに異なる「模倣」観である。ちなみに、一般的にはヴィンケルマンによって人口に膾炙したと言われるフレーズ「高貴なる単純(noble simplicité)」は、この事典では「admirable simplicité(賞賛すべき単純)」と微妙に形容詞を変えて用いられていた。