クァトロチェントの視


Michael Baxandall, L'oeil du quattrocento, Paris:Gallimard, 1985. (Texte original, Oxford UP, 1972.)
http://www.amazon.fr/dp/2070704440/
これもレポート用。表紙になっているウッチェロの『サン・ロマーノの闘い』、よく見ると左下に横たわっている人物(甲冑を着た戦死者)の短縮遠近法があり得ないほど狂っている。ウッチェロに限らず美術の歴史の中に今日まで残るほどの画家であれば、「正確な」光景を描くことも技術的には可能であっただろうに、実際には絵画中には多種多様な歪曲や変形が貫入している。そういった歪みの個別の現れを見つけ出すことが、自分にとっては絵画という人工物を眺める際の最大の楽しみになっているように思う。