森鷗外と美術
和歌山県立近代美術館にて〜10月22日(日)

鴎外森林太郎の見た明治・大正の美術
近代日本を代表する作家・森鴎外(本名:林太郎)は、同時代の美術にも深い関わりを持っています。今回の展覧会は、美術の分野における鴎外の活動を紹介するとともに、鴎外という視点から近代日本の美術をとらえなおすものです。
和歌山県立近代美術館サイトhttp://www.bijyutu.wakayama-c.ed.jp/exhibition/mori.htmより)

私の知っている範囲での、鷗外と当時の美術界との結びつきと言えば、ハルトマン美学の継承者であること、原田直次郎の『騎龍観音』を巡り、美学者外山正一との間で歴史画論争が戦わされたこと、それから明治30年創刊の雑誌『美術評論』に、「無名子」の筆名で「西洋美術史」の連載を持っていた(大村西崖と共同執筆)ことなどであろうか。(西洋美術史と言いつつ、小アジアやエジプトまでを対象にした原始の墳墓から語り起こし、微に入り細を穿ちながらの連載のため、20回近い連載を経てもギリシアのフェイディアスまでしか辿り着けずに、その後は立ち消え?になっている。)
上記のサイトを見ると、在野の批評家、教養ある愛好家としてのみならず、文展の審査員や帝室博物館総長なども務め、また同時代の美術家たちにパトロネージも提供していたという。考えていた以上に、森鷗外が当時の美術界に及ぼした効力・影響力は大きいようだ。
関東からアクセスできる圏内では、11月7日(火)〜12月17日(日)まで静岡県立美術館に巡回の予定。
http://www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/exhibition/H18_schedule_j.html#3