原稿としてまとめたものを、すでに提出済みなのだけれど、いろいろと修正したいところが出てくる。
日本の「国土」という統一的な概念の形成と、自国の「風景」への眼差しとの関係性がいまひとつ不明確だ。国家行政のための区分として存在し、地図によって視覚化される「国土」という輪郭と、美的鑑賞の対象として特権化されたドメスティックな「風景」と(この系譜は江戸期の名所絵から存在するのだろうけれど)、「故郷」や「郷土」といった概念と、各々異なるものでありつつも、どこか重なり合う地点があるのではないかと思っている。それが志賀重昂なのかどうかは自分でも不明。論ずるべき対象を切り取る作業は、意外と難しい。