東京都写真美術館で、「植田正治:写真の作法」展と「写真展 岡本太郎の視線」を見る。

植田正治砂丘で撮る家族の像は、シュルレアリスト式のデペイズマンや異化効果とも、かといってアンティームなポートレイトとも異なっていて、日常性と非日常性が奇妙に混淆している。画面のほとんどを埋める逆光で撮られた建物(黒い矩形)の端に、「助産婦 長濱ヒナ子」と浮き出すようにくっきりと書かれた看板の引っ掛かっている写真が、不思議に印象に残った。

岡本太郎は、縄文や東北・沖縄の民俗の中に、「原始」の力強さを見出していく眼差しが面白い。仄暗くて、何とも規定しがたいエネルギーのようなもの。規範的な始点としての「古典古代」ではなくて、「原始」というものが「発見」ないしは創造されていくプロセスを知りたい。