「郷土」というイデオロギー

ふと心惹かれた画家、オットーネ・ロザイ(Ottone Rosai)。ストラパエーゼ(郷土派:1920年代にイタリアで勃興した、地方小都市や田舎の伝統を礼賛する文化運動)の担い手に分類されているようだけれども、彼が描くのは、センチメンタルなだけの牧歌的風景ではないようだ。どこか寂寥を漂わせる色彩と、構築物や人物の不思議な量塊感、それから軽い眩暈を呼び起こすような蛇行する通景。Google imageの検索で上がってきた画像の中では、この作品がいちばん好きだ。

牛島憲之による絵画の質感とも、通底するものがあるように思う。牛島は、たまたま訪れた府中市美術館の常設展示で目が止まった画家だ。ロザイについても牛島についても、詳しいことは知らないが、どちらもちょっとキュビズムっぽい作風である。ひょっとしたら共通のムーブメントの影響下にあったのかもしれない。)