2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

聖セバスティアヌスの系譜

画像はAmazon.co.jpより(http://www.amazon.co.jp/dp/B0000026TR/)。 現代の商業的・大衆的なヴィジュアルの中に現れ出た「聖セバスティアヌス」イメージについては、こちらのブログ記事が幅広く網羅している→http://d.hatena.ne.jp/HODGE/20080224。 腕を…

パリ旅行記:étoile polygone

ジャン・ヌーヴェル設計のアラブ世界研究所。 ガラスの裏側に設置されたシャッター。カメラの絞りと同様の仕組だというこの装置は、裏面から見ると手が切れそうなくらい無機的でメカニックな印象だ。このシャッター構造が作り出す八芒星の反復は、イスラム建…

メディアとしての建築

彦坂裕「語る建築、語られる空間」菊地誠編『メディアとしての建築 ピラネージからEXPO’70まで』東京大学総合研究博物館、2005年、93-100ページ、より。 いくつかの重要なことがらが、こうした建築と外的メディア(ここでは銅版画)の連帯によって孵化しはじ…

細部の自律性

コルマールのウンターリンデン美術館で購入した絵葉書。グリューネヴァルトによる《イーゼンハイム祭壇画》の様々なディテール。絵画はタブロー全体でひとつのunitéを構成しているはずなのに、切り取られた細部だけでも絵画として自律してしまう。左下は《聖…

Copy Cat

ディジョンでお世話になっている方に教えて頂いた話題。要はフラマリオンから刊行された「名作を粗筋で読む」シリーズのモンターニュ『エセー』が、仏語オリジナルからの要約ではなく、日本語による抄訳を更に仏訳したものだということ。 http://editions.fl…

先日の日記(http://d.hatena.ne.jp/baby-alone/20090313)で触れたl'école nationale des ponts et chaussées(フランス国立土木建築高等学院)所蔵の18世紀の建築デッサンに関して、本格的な研究が出ていることが判明。 1)Antoine PICON, Architectes et …

3月29日のパリ日記

パリで迎える最後の日曜日、今日は自分の好きなことだけをしようと決めて、まずはリュクサンブール美術館で開催中の「両リッピ(父フィリッポと子フィリッピーノ、ルネサンス期のプラートで活躍した画家)」展へ。街中にポスターが貼られ、入場料が11ユーロ…

ふと目に止まった催し物。 表現とデモクラシー 日時:2009年4月26日(日)19:00〜21:00 会場:Otto Mainzheim Gallery(東京都中央区八丁堀3-11-9-B1) 詳細はこちら:http://ca-mp.blogspot.com/2009/04/talk-0426.html 美術品(それを「イメージ」と呼ぶか…

パリ滞在時にBnFで見つけた一冊。ルネサンス期の古代美術発掘と、そこから「過去」を再構成する作業について。彫像、すなわち人間の身体表象が中心的に扱われている。 Leonard Barkan, Unearthing the Past: Archaeology and Aesthetics in the Making of Re…

オンライン検索で偶々見つけて、気になった書籍。観衆の成立―美術展・美術雑誌・美術史作者: 五十殿利治出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2008/05メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 6回この商品を含むブログ (10件) を見る切断の時代―20世紀におけ…

表象文化論学会のオンライン・ニューズレター『ルプレ』08号に、「海外研究動向紹介」を寄稿いたしました。 http://repre.org/repre/vol8/abroad/index.html 「二次元」の建築を巡る動向について、「ディジタル・アーカイヴス」と「書物」を巡る二つのシンポ…

湖畔と植物園

美術館を出た後は、新緑に彩られたブルゴーニュ運河とキール湖を散策。ブルゴーニュ運河は19世紀に物資運搬用に作られたが、直後に敷設された鉄道にその役割を奪われ、その後は専ら観光に用いられてきた。その歴史の浅さと短命さゆえに、ディジョンの街は運…

Fauves hongrois:la leçon de Matisse(ハンガリーのフォーヴィズム:マティスの教え)展(Musée des Beaux-arts de Dijon)

展示数はさほど多くはなかったけれど、強度と緊張感のある作品ばかりが集まっている。日本にいると、「西洋」の美術はそれなりに目にする機会があっても、ハンガリーという国は全くの他者で、だから今回の企画はとても新鮮に映った。有名どころでは、ブラマ…

かつて製靴工場だった建物の取り壊しが、本格的に決定したようだ。昨年インターン研修をした現代アートギャラリー、Consortiumの事務所が入っていた場所である。(参照:http://d.hatena.ne.jp/baby-alone/20080627)アパートメント・コンプレックス計画(設…

visagéité

大学図書館でたまたま出会った一冊。 Domonique Baqué, Visages: du masque grec à la greffe du visage, Paris: Edition du Regard, 2007. http://www.amazon.fr/dp/2841052141/ サブタイトル(ギリシアの仮面から顔の移植手術まで)を見ると「顔」表象の通…

物質と肉体性

ルーヴルでヤンペイミンの描くモナリザを見て、ふと考えたこと。絵画における物質(つまり絵の具)は、人間の「肉(chair)」に近いのではないだろうか。滴り落ちる絵の具が、血や汗を喚起する。右端の写真は、オルセー美術館に所蔵されているHenri Regnault《…

記憶の中の都市

3月、パリに滞在した折の写真をアップロードしました。 http://f.hatena.ne.jp/baby-alone/Paris-mars-09/ 暫くしたらテーマ毎のフォルダに振り分ける予定ですが、まずはひとまとめにしてみました。1ヶ月の間に感覚が捉えたものの残像、思考の切れ端などは、…

天才的な時代

シュルツ全小説 (平凡社ライブラリー)作者: ブルーノシュルツ,Bruno Schulz,工藤幸雄出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2005/11/10メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 50回この商品を含むブログ (39件) を見る だが、時間のなかに己の場を持たない出来事、遅す…

ロワール河岸の思い出

奨学金の関係で、ブルゴーニュ西部にあるヌヴェールという街を訪れた。そのときの断片。 午後の2時間ほどを割いて、オプションとして催されたガイド付き小ツアーに参加。まず現在は市庁舎の置かれているPalais ducalを見学する。中世とルネサンスの混合様式…