2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

サブとマス

「フランスでは日本のサブカルチャーがブーム」という科白は、2000年代初頭から耳にしていたが、実際にフランスの地方都市に来てみると、どんな層(cultural tribe)が何を求めて日本のサブカルチャーを享受しているのか、いまひとつよく分からないのも事実。…

空中紳士

空中紳士―合作探偵小説 (春陽文庫)作者: 耽綺社同人出版社/メーカー: 春陽堂書店発売日: 1994/07メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (2件) を見る耽綺社は5人の探偵小説作家による同人。この『空中紳士』は、解説によれば実質江戸川乱歩の筆…

砂金 (愛蔵版詩集シリーズ)作者: 西條八十出版社/メーカー: 日本図書センター発売日: 2004/03/25メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (12件) を見る「同期の桜」といった軍歌から「青い山脈」などの歌謡曲まで、やたらと守備範囲…

過去の征服

Alain Schnapp, La Conquête du passé: aux origines de l'archéologie, paris: Éditions Carré, 1993. 副題は「考古学の(複数の)起源」。17世紀の古遺物研究家(Antiquaire:シュナップの定義では「古遺物研究」の発祥はルネサンスではなく17世紀である)…

楽園のアダムの家

建築のアーキタイプなる概念を通史的に扱った書籍として名高い、ジョセフ・リクワートの『アダムの家――建築の原型とその展開』(黒石いずみ訳、SDライブラリー、1995年)。英文オリジナル版(Joseph Rykwert, On Adam's House in Paradise, The Idea of the …

Jeffrey Collins, Papacy and Politics in Eighteenth-Century Rome: Pius VI and the Arts, Cambridge University Press, 2004. http://www.amazon.com/dp/0521809436/ ヴァティカン美術館の古代美術コレクションでも知られる教皇ピウス6世による、芸術への…

始まりと復古

André Lacocque & Paul Ricoeur, Penser la Bible, Paris: Seuil, 1998. http://www.amazon.fr/dp/2020316773/ この論集に収められているリクールの論考「Penser la Création」は、聖書や神学というテーマを離れて、「起源l'origine」とその「連続性continui…

不気味さとキッチュ

白い大理石の彫像は単純に「美術作品」として享受しうるのに、蝋人形や着色彫像などの「過剰に似ている」像はどうして不気味に思えるのか。ずっと疑問に思っていたのだけれど、最近「不気味の谷」という概念があることを知った。 ウィキペディアの「不気味の…

ABCDaireに取り零していた写真を追加。歩み寄る人物(c.f.受胎告知の大天使)のKと、死せるキリストの身体(ピエタ、埋葬、十字架降架)のM。 http://d.hatena.ne.jp/rodano/20080810

探し物と漂流物

World Catという文献検索システムを、初めて使ってみた。 http://www.worldcat.org/ 探していたのは、Rosaline Bacou et al., Le cabinet d’un grand amateur P.J. Mariette 1694-1774. Dessins du XVe siècle au XVIII siècle, Paris : Musée du Louvre, Ga…

イタリアの額縁

ドーリア・パンフィリ絵画館(Galleria Doria Panphilj)の売店にあった書籍、『La cornice italiana : dal Rinasciment al Neoclassico』(Electa刊)。題名通り、絵画作品の額縁に焦点を当てた書。高い、重い、差し当たって使わないの3点が揃っていたので…

L'invenzione dei Fori Imperiali, Musei Capitolini (Roma)

8月2日、ローマ旅行の最終日に訪れたカピトリーニ美術館では、「L'invenzione dei Fori Imperiali, demolizioni e scavi : 1924-1940(フォリ・インペリアーリの発明、破壊と発掘:1924年〜1940年)」と題された企画展が開催されていた。考古学や古代の「再…

ABCDaireを久し振りに更新しました。→ http://d.hatena.ne.jp/rodano/20080807

7月末から8月頭にかけて、調査を兼ねてローマに行ってきた。夏のローマは蒸し暑くて川辺では蝉が鳴いていて、ところどころに植わっている笠松の並木もどこか日本の夏を連想させる。ディジョンもパリも薄灰色の建物に柔らかい影が落ちているけれど、ローマは…