2006-01-01から1ヶ月間の記事一覧

原稿としてまとめたものを、すでに提出済みなのだけれど、いろいろと修正したいところが出てくる。日本の「国土」という統一的な概念の形成と、自国の「風景」への眼差しとの関係性がいまひとつ不明確だ。国家行政のための区分として存在し、地図によって視…

東京都写真美術館で、「植田正治:写真の作法」展と「写真展 岡本太郎の視線」を見る。 植田正治が砂丘で撮る家族の像は、シュルレアリスト式のデペイズマンや異化効果とも、かといってアンティームなポートレイトとも異なっていて、日常性と非日常性が奇妙…

神話的な古代は近代という文化意識に随伴して、反復的に蘇生する悪夢めいた分身である。つねに自分自身を革新する運動としての近代は、絶えず伝統の切断をおこない時間的な連続性を断ち切ることによって逆に、アナクロニックな神話的古代の幻覚を生む。原形…

(映画『ショアー』の)映像は過去の情景を再現していないし、過去の存在を表象し、記憶させようとしているのではない。そのような表象や記憶の行為は知らず知らずのうちに過去の偽造となるからである。 (内田隆三『国土論』51ページ)

藤島武二《天平の面影》

天平の面影、作家藤島武二氏人に語りて曰く、此画を描くに至りし動機ども称すべきハ昨年奈良に遊びて普く古画古物像を渉猟し端りなくも正倉院珍襲の箜篌(藤島作品において女性が持っている竪琴状の楽器)を一見したり。(中略)而して之を描くにハ古代画風…

磯崎新『始源のもどき』と内田隆三『国土論』が緊急に必要なのだけれど、図書館も書店も開いていないので困った。新年なので犬。年賀状のデザインをどうしようかと考えながら明治20年代の『國華』で調べ物をしていたとき、偶然見つけた図版。丸山応挙による…