2004-01-01から1ヶ月間の記事一覧

渋谷に用事があったので、そのついでに松涛美術館まで足を伸ばし、『谷中安規の夢』展を見る。最近は田中恭吉や恩地孝四郎、そして今回の安規など、日本近代の「マイナーアーチスト」がとみに面白い気がするのだ。 木版画の太く濃い輪郭線、圧倒的な黒。(そ…

『沈黙博物館』小川洋子著、筑摩書房、2000. 「もの」が喚起する死者に纏わる記憶/忘却(死者が二度死ぬということ)/死者について、また自らの記憶について語るということ/記憶を留める場であり、かつ未来の記憶を創出すべき場としてのミュージアム、などと…

『ヨハネス・イッテン造形芸術への道』

「主観的色彩」という概念、また色彩や輪郭は「差異」によって知覚されるという理論が面白い。フランスの芸術学者ティエリー・ド・デューヴは、ドローネー夫妻らの抽象絵画の背後にあるシュヴルールの色彩理論(「色彩の同時性」)が、ソシュールの言語学・…

『10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス』

7人の監督によるオムニバス。ヴィクトル・エリセの作品が出色。ビデオ『パリ・テキサス』ヴィム・ベンダースビデオ『鏡』アンドレイ・タルコフスキービデオ『ドン・ファン他短編集』ヤン・シュヴァンクマイエル

日比谷のシャンテ・シネへ行き、『10ミニッツ・オールダー イデアの森』を見る。 8人の監督によるオムニバス映画。テーマがテーマだけに、「時間」に纏わる思索を(直球で)追求した作品が並んだ中で、移民問題――自己と、自己の領域内に入ってくる他者の問題…

少し前のことになるが、書くのを失念していたので。F.カフカの『城』を読了。「中間」の過程が延々と遅延したまま――どの道程を辿っても辿り着けない城だとか、配達されない手紙だとか、到着しない使者だとか――、物語は突然中断してしまう。(作者側の事情…

以前にクリスチャン・ボルタンスキーのことを、映画『アメリ』に出てくる、捨てられたインスタント肖像写真を集めている男の子を連想させるという風に書いたけれど、例の映画には別のモデルがいたらしい。ディック・ジュエル(Dick Jewell)という、主として…